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005 おかん ~90歳の母がパソコンで世界を旅するまで──シニアとテクノロジーの物語~

  • 執筆者の写真: 空苑
    空苑
  • 6月17日
  • 読了時間: 4分

更新日:8月5日


こんにちは、空苑です。 前回は「シニアにこそテクノロジーを」というテーマでお話ししました。 これはこのブログの大きなテーマのひとつなので、今後も定期的に取り上げていく予定ですが、今日はそのテーマに沿って、私の個人的なお話をさせてください。

シニア女性がパソコンとスマホを操作している
generated by Midjourney ※画像はイメージです

 母は90歳オーバー、それでも知的好奇心に満ちた日々 


私の母は90歳を超えていますが、今でも好奇心旺盛に毎日を過ごしています。若いころは洋裁と読書が趣味で、特に洋裁は実益にもなっていましたが、年齢とともに肩こりがひどくなり洋裁はやめてしまいました。 私はそんな母が手持ち無沙汰にみえたので、70歳前半のころにノートパソコンをプレゼントしました。

  70代半ばでパソコンデビュー、最初は放置…  

案の定、「そんなものもらっても、難しすぎて…」という反応で、その後半年以上は箱に入ったまま放置されていました。 私もそのことは知っていましたが、好奇心旺盛な母の性格からして「絶対にそのうち触り始める」と確信していたので、そのまま静観していたのです。 そしてある日、「さすがに息子からのプレゼントを無駄にするのも悪い」と思ったのか、ようやく重いフタを開け、見よう見まねで触り始めました。

「パソコンの初歩の初歩」的な入門書を買ってきて、少しずつ学習。 幸い母には多少ワープロの心得があったため、電源を入れて文字を打つくらいは自力でできたようです。

  インターネットの世界へ  


ブラウザの立ち上げ方や検索といった基本操作を教えたところ、もともと読書好きだったこともあり、次々と興味のあることを調べ始めました。 ある日、「メールって何するもの?」と聞かれたので使い道を説明し、アカウントの作成と送受信をレクチャー。少し難しいかなと思ったのですが、ほどなくしてアマゾンや楽天に自力で登録し、日本全国のグルメをお取り寄せする楽しみを覚えました。

  思い出の地から世界へ、“旅”を始める  

やがてグーグルマップやストリートビューも使いこなすようになり、自分の生家や過去に住んでいた場所、思い出の土地などを“旅”するようになりました。 80歳手前には“旅”はグローバル化し、「今日はニューヨークに行った」、「やっぱりヨーロッパの街並みはいいねぇ」などと楽しげに報告してくるようになりました。

  パソコンが広げた世界

母は一度も海外旅行をしたことがありませんでしたが、ネットを通じて世界が大きく広がったようで、すっかり“世界旅行”にハマってしまいました。 最初は質問も「再起動って何?」「デスクトップって何?」といったものばかりでしたが、最近では「ウイルスバスターとノートン、どっちが良い?」など、私でも即答できないような深いことを聞いてくるほどに。 先日も、「突然画面が変になったけど、2回続けて強制終了したら直ったよ」と、トラブルシューティングまで自力でできるようになってきました。

  90歳の今では、俳句サークルの主宰者に  

昔からの趣味だった俳句も、いまでは同人会を主宰し、ワードで原稿を作成。メールやLINEでメンバーと連絡を取り合って原稿を校正するほど、母のデジタルスキルは進化しています。

好奇心と学びの積み重ね

母の場合は、俳句会や“世界旅行”、お取り寄せなど、明確な目的があり、それを達成する小さな喜びがモチベーションの持続につながっていたのだと思います。 私も最初は、手先を動かすことが、少しでも毎日をいきいきと過ごすきっかけになってくれれば、という思いでしたが、ここまで使いこなしてくれるとは思っていませんでした。

90歳を越えた今は、さすがに旅行はもちろん、近所の買い物もままならないぐらい行動範囲は狭まってきましたが、ネットショッピングをはじめとするパソコン/ネットのアシストが、そのハンディを補ってくれている部分は大きいと感じます。

パソコンが健康に直接的な影響があるかは分かりませんが、シニアとテクノロジーの融合が高齢者のQOL(生活の質)を広げてくれることは、間違いないでしょう。 挑戦するのに、遅すぎることはありません。 皆さんにも、少しでも勇気を与えるお話になれば幸いです。

頑張らない、諦めない  ハイエイジ、ハイライフ!

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