012 【定年退職後の税金】退職金と住民税の注意点
- 空苑
- 7月26日
- 読了時間: 6分
更新日:8月5日
こんにちは、空苑です。 今回は「定年と税金」についてお話しします。
サラリーマン時代は、給与明細を見て「なんかいろいろ引かれてるな」と思うくらいで、税金や保険料についてあまり意識することはありませんでした。
控除証明を出しさえすれば、あとは総務・経理の専門の人におまかせで、翌年の天引き額が決まる。
毎月、年金・健康保険・所得税・住民税などが自動的に天引きされていましたが、会社まかせで確認せずとも間違いはほとんどなく、総額だけ見て前月と大差がなければそのまま明細をしまい込んでいたのではないでしょうか。
私はそうでした。

しかし、定年を迎え年金生活が始まると、これまで会社任せだった税金の申告・納付を自分で管理・申告する必要が出てきます。
特に退職時の一時金や退職翌年にやってくる住民税に関しては、注意すべきポイントがいくつかあります。
私自身はFP(ファイナンシャルプランナー)や税理士ではありませんので、みなさんの様々なケースのシミュレーションに正確な回答はできませんが、これから退職される定年予備軍の方に少しでも参考になればと、自分の退職時の経験談から、実際に体験したこと、戸惑ったことなどをお話しします。
退職金にかかる税金とは?所得税の仕組みと控除額を解説
退職金に対する税金についても私自身、定年前はあまり深く考えていませんでした。
退職金とは「ドンと一括で入ってくるお金」という漠然としたイメージしかなかったのです。
退職2か月前ぐらいに、総務・人事の方から退職時の各種事務処理についてのレクチャーがありました。 相談相手はFPの資格を持っている方で、丁寧に説明していただきました。
一回でわからないことも多くて、ネットでも調べつつ、その後二回ほど相談に行きましたが、私が理解できるまで説明してくれたので助かりました。
退職金の種類にはいくつかあります
退職一時金のみのところもありますし、2本立て、それ以上のところもあります。代表的なのは:
- 退職一時金
- 中小企業退職金共済
- 確定給付型年金
- 確定拠出年金
これらの合計が、退職時の一時所得となります。
退職金にも所得税はかかりますが、給与の所得税とは別建てで計算され、控除額の面で非常に優遇されています。
これは、退職金が長年勤務したことに対する報奨金的な意味合いが強いための優遇です。
まとまった金額なので、非課税枠が大きいのは大変ありがたいことです。
退職所得控除の計算方法と控除額の目安
退職所得の控除額は
- 勤続20年までは:年40万円
- 21年目以降は:年70万円
たとえば、大卒後23歳で就職し、60歳で同一企業で定年となった場合、37年勤続となるので、控除額は:
20年 × 40万円 + 17年 × 70万円 = 1,990万円
となります。これが控除額です。
なお、勤続年数の計算は端数(月単位)は切り上げとなります。 つまり、36年と1か月でも、切り上げて37年で計算されます。
ちなみにこの勤続年数は、転職した場合、そこでリセットされるケースと、通算されるケースがありますので、転職された方はそれぞれのケースを調べてみてください。
この控除額(例の場合は1,990万円)を超えた金額の1/2が課税対象になります。
月々の給与に比べたら、優遇された控除枠ですね。
※ここで悪いお知らせですが、この非課税枠は見直し(縮小=改悪?)の案も出ているので、今後の動向には注目です。(2025年7月時点)
企業によっては、退職金の一部を分割で受け取れる制度もあり、退職時に一括で受け取る金額が控除枠内に収まるように調整して、できるだけ税金を少なくする工夫ができる場合もあります。早めに総務・人事部に相談することが大切です。
退職後の住民税に注意!支払いタイミングと対策ポイント
次に注意すべきは住民税です。
住民税は前年の所得をもとに計算され、翌年の6月に請求が来ます。
つまり、定年退職して収入が減った翌年に、高額所得時代の住民税が請求されるという構造です。
すでに退職してほっこりと年金生活を過ごしている中、あるいは全く収入がなくても、請求書は容赦なくやってきます。心しておきましょう。
たとえば、私の場合は9月に退職しましたが、翌年6月に届いた住民税の請求には、覚悟していたとはいえ、やはり驚きました。
納付方法は退職時期によって異なります
1月〜5月に退職した場合:
- 退職年の住民税(1〜退職月分)は、退職月の給与から一括で天引き(特別徴収)されます。 
- よって、 退職月の手取りが極端に少なくなる、あるいはマイナスになるケースもありえます。 
6月〜12月に退職した場合:
- 翌年の6月に、前年(退職年)の住民税の請求が届き、自分で納付します(普通徴収)。 
特に役職定年や再雇用などで前年より大きく年収が減ると、住民税の支払いが家計を圧迫します。これは退職に限らず、年収が急変した場合全般に共通する注意点です。
住民税は「均等割」と「所得割」で構成されており、 一般的に、前年の年収の約10%+均等割(自治体によるが5,000円前後) と覚えておくとよいでしょう。
うっかりすると危険。住民税は減免されにくい
「請求書を見てびっくりした」「思わず放置してしまった」「こんなはずじゃなかった」──こんな話も耳にします。 ですが、残念ながら住民税の減免はよほどの事情(災害・生活保護など)がない限り認められません。
ちなみに住民税は自治体が指定するタームで(通常4回)分割で払うこともできます。 分割も一括も支払う総額は同じですが、払わなければならないことに変わりはありません。
支払いが滞ると延滞金、督促状、最終的には差し押さえという事態にもなりかねません。
定年後の新しい生活を穏やかに始めるためにも、特に退職翌年の税金だけはしっかりとプールしておきましょう。
定年退職後の税金・まとめ
定年退職後の税金の中でも、とくに重要な退職金と住民税についてお話ししました。 退職金に対する所得税は、控除額が大きいので思ったほど心配しなくて良いようです。ただし、今後控除枠見直しの話が出ているため注意が必要です。
住民税の一括請求は、前年の年収によっては驚くような額になる場合があります。
しかも忘れたころに請求書が届くので、退職前から準備しておくことが肝心です。
堅実な資金繰りで老後を楽しみましょう
無理しない、諦めない ハイエイジ、ハイライフ!
…でも税金だけは無理してでも払いましょう


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