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009 定年後の自分探し : 何者でもない自分の処し方

  • 執筆者の写真: 空苑
    空苑
  • 7月7日
  • 読了時間: 5分

更新日:8月5日


さて、空苑です。


第8回に引き続き定年後の体験談をお届けします。

定年で社会的な肩書きを失った自分は、いかなる引力からも解放された「何者でもない存在」。 そう思った瞬間、まるで無重力空間に放り出されたかのような浮遊感を覚えました。

員証を手放した無重力状態の宇宙飛行士
generated by Midjourney ※画像はイメージです


  新しいアイデンティティの確立のために  

役職定年を設ける企業も多くなってきましたね。 定年後の生活に上手くソフトランディングできるための準備期間、と割り切って有意義に過ごせればいいのですが、決してそんなにポジティブな捉え方はできない制度です。 長年サラリーマンとして頑張った人ほど、その喪失感は大きくなると思います。

「元〇〇(会社名・在職中の最高位だった役職)」と書かれた自作の名刺を配り続ける人のことは前回書きましたが、新しい就職先の名刺の裏に、過去の大企業での経歴を大きく刷り込んでいる人は結構見かけます。 いずれも何者でもなくなった自分を受け入れられないからかもしれません。 私も過去の誇り高き栄光や失敗は自分の中に大切にしまっていますが、今更それらを振り返ることよりも、前を向くことの方が大事だと感じています。 こういうときに、忘れっぽい性格はポジティブに作用します。 これからは新たな自分のGPSをリセットし、現在地を再定義することに注力しようと決意する次第です。


  自由を謳歌するためには目的が必要だった  

「何者でもない自分」。 もう社会に通用する肩書は何もありませんが、時間と自由だけはたくさんあります。

現役時代はまず仕事という軸があり、それを中心に何を達成すべきか、そのために時間をどう使うのかが自ずと決まっていました。

しかし、定年後は幸せなことに(?)もうミッションはどこからも誰からも降ってきません。

与えられるのはFreewill=自由意志のみです。 何をやってもいいし、何もやらないという選択もまた私に委ねられるのです。

そこで、まずは自身のミッションを定義づけるため「やりたかったこと」を書き出してみました。現役時代、ずっと懸案だったけど着手できなかったことです。

学び直し

音楽が趣味でギター歴は50年以上。 ずっとロック専門で多少腕に覚えはありましたが、定年後は長年の憧れだったジャズギターを習い始めました。 びっくりするほど上手く弾けなくて、とても新鮮です。

健康管理

長年の不摂生で、メタボ体型はほぼ手遅れ。 それでも、ようやくジムに通い始めました。若いころからストイックな方には当たり前のことかもしれませんが、私にとっては大きな決断でした。

趣味の追求

音楽は唯一の趣味です。 演るのも聴くのも大好きですが、もう一歩踏み出して「創る」を体験しようと思い、フリーランスの作曲家として活動を開始しました。 最近ようやく若干の収入が得られるようになり、プロと名乗れるようになりました。 また、このブログを中心とした執筆業も、近い将来1円でもいいからマネタイズ出来たら、というのが夢です。

人とのつながりを広げる

現役時代の人脈を一新し、新しい出会いを求めて活動を開始。 「新しいコミュニティーへの参加」は今後の課題です。なぜ人脈をリセットしたのか?は別の機会にお話しします。

家族との時間

家にいる時間が圧倒的に増えたことで、現役時代よりも家事を手伝うようになりました。かつての私は「寝てない自慢」「家に帰らない自慢」の典型的な一昔前のサラリーマンでしたが、今は家族との時間を大切にしています。


かつての同僚も絵を習い始めたり、ボイトレ(ボイストレーニング→カラオケ教室と言わないで、と注意されます)、初めての水泳、船舶免許、山登りなど、いろいろなことに挑戦し始めています。

このように具体的にやりたいことを書き出して挑戦することで、ワクワク感が格段に増したと実感しています。


  仕事を続ける選択肢   


「まだ社会とつながっていたい」「やはり仕事をしていたい」「収入面で不安」と考える人も多いでしょう。 他の企業から熱いラブコールを受ける方もいます。 最近は、定年後の働き方がますます多様化してきています。

仕事の選択肢

  1. 再雇用・再就職:経験を活かし、これまでの職場や関連業界で働く。

  2. シニア起業:長年の知見を活かし、小規模ビジネスを始める。

  3. プロボノ活動:報酬を求めず、専門知識を提供する。

  4. パート・アルバイト:無理なく楽しみながら社会とつながる。

「社会に必要とされていること」は素晴らしいことです。

ただし、2.の起業だけは慎重・周到に。

自分の周りには起業し成功を収めている方も多いですが、ずっとサラリーマンを続けたタイプの方とは、もともとの気質が違うような気がします。 ただ、情熱と覚悟と周到な準備があれば、決して遅すぎるということはないと思います。 わたしには出来なさそうですが、応援したいです。

「何者でもない自分」の処し方。まだまだ、もっと洗練されたやり方はあるでしょうが、とりあえず、現役時代からやりたかったことを全部書き出してみてはどうでしょう? そして好奇心を持って新しいことに挑戦してみる。

もし合わなければ、次に行けばいい。そんな気楽な気持ちで挑戦しましょう。 もちろん、「何もしない」も立派なFreewillです。

焦る必要もありません。

無理しない、諦めない ハイエイジ、ハイライフ!


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